山形で13代続くさくらんぼ農園「沼尻農園」の跡継ぎの沼尻 淳(ぬまじり じゅん)が、「旬が短い完熟さくらんぼの廃棄問題を解決して、地元・山形のさくらんぼ農家と地域社会に貢献したい」。そんな想いから「佐藤錦」を100%使用した、これまでになかった贅沢なクラフトビールを造りました。



さくらんぼビールって飲んだことありますか?



山形県産佐藤錦を使った贅沢なクラフトビール「GOHOBI SATONISHIKI IPA」

「GOHOBI SATONISHKI IPA」は最高級さくらんぼ「完熟佐藤錦」を100%使用した世界初のクラフトビール。具体的には700リットルのビール生産タンクに対して佐藤錦50キロと褐変(酸化現象)を防いだ製造方法(特許出願予定)で製造した佐藤錦ピューレ5キロ、合計55キロも使用しています。単なる果汁入りのクラフトビールではなく、佐藤錦だけを大量に使用したこれまでにない贅沢なさくらんぼフレーバービールとなります。

製造は山形県米沢市南部の田園地帯に2018年春にオープンし、個性豊かなクラフトビールを製造・販売しているマイクロブルワリー・米沢ジャックスブルワリーの槙山氏に依頼。「IPA(アイピーエー)」は、正式名称を「India Pale Ale(インディア・ペールエール)」といい、ビールの原材料の一つである「ホップ」を大量に使用してつくられるビールです。ホップのもつ香りや苦味が一般的なビールと比べるとかなり強く、世界中で愛されているビールの一つです。このIPAに佐藤錦の甘さの強いフルーティーな味わいが絶妙なバランスで融合した、これまで味わったことのない女性にも飲みやすいビールになっております。

ビールの製造工程

1.製麦:大麦から麦芽モルトを作る工程
2.粉砕:モルトを粉砕します
3.仕込み:粉砕したモルトをお湯と混ぜ粥状にし糖化させます。濾過して麦汁が出来ます。
4.発酵:発酵タンクのビールに酵母を加え発酵させます
5.熟成:後発酵、第二次発酵と呼ばれ、熟成させます
6.濾過、熱処理:ビールの熟成が完成したら酵母の働きを止める
7.容器詰め:瓶や樽に詰める
※ファーストロットの仕込みは私(沼尻)も志願しお手伝いさせて頂けるように許可を得ました。



こだわり


沼尻農園は山形県の山辺町というさくらんぼの産地にあります。産地面積が小さいことを逆手に取り、惜しみなく手間をかけて品質・美味しさを追求しています。また生産者が一体となって情
報交換し切磋琢磨して磨き上げた技術は地域レベルで群を抜き、さくらんぼの名産地として有名な山形県内でも一目を置かれ、評価(価格)の高い地域になります。
そんな山辺産佐藤錦を贅沢に使用してクラフトビール「GOHOBI SATONISHIKI IPA」を造りました。


クラフトビールを造った背景

完熟さくらんぼの廃棄問題を解決し、地元の農家さんに貢献したい

山形県のさくらんぼ農家数は、この20年でおよそ半数に減少。高齢化と後継者不足が二大要因となっています。また「果物の宝石」とも呼ばれ、ルビー色に輝く甘くて美味しい旬の味覚という世間のイメージとは裏腹に、さくらんぼはとてもデリケートで完熟後はすぐに腐ってしまうためこれまで再利用することが難しく、売れ残ったさくらんぼは大量に廃棄されてしまうという大きな問題がありました。特に最近は、生産地でギリギリまで完熟にして収穫しお送りするギフト商品が主流になっているため、完熟して甘いさくらんぼほど、ますます取り扱い方はデリケートで難しくなっていました。

商品化に向けて立ちはだかる様々な壁。10年間の試行錯誤を経て。

13代続くさくらんぼ農家として、山形の地域資源と言えるさくらんぼの廃棄を減らし、付加価値の高い商品へと再利用することで農家さんや地域社会に貢献できないかという想いから、私たちはまず2014年より、完熟したさくらんぼの美味しさをそのまま閉じ込める特殊冷凍保存に挑戦しました。最初は単純に高く売りたいと思い日本の果物をドバイに持って行きましたが、ドバイは地中海が近く果物が豊富で、しかも安い。単純な特殊冷凍では価値が足りない。またそのまま食べるには半解凍が一番美味しい、全部解凍してしまうと味が落ちて提供が難しいことがわかりました。

また次の問題としてピューレにした場合、褐色に酸化する「褐変」の問題がありました。酸化すると風味も落ちてしまい、何よりもさくらんぼをイメージさせる綺麗なルビーレッドの色が表現できません。この問題に関しては食品会社とやり取りを重ね、褐変を防ぐ製造方法を完成させました(特許出願予定)。

そういった10年の試行錯誤の間も、通年で販売可能な商品を目指して佐藤錦の種をオイルにしたり、種を粉末にしたり、有名パティシエから種を取ってと言われたので種を取ったら使いづらいと言われたり、フリーズドライにしたりしましたが、どれも加工人件費がかかり費用対効果が合いませんでした。

地元・山形のさくらんぼ農家を応援したいという想いから5年前より開始したさくらんぼ買取り事業は、まだまだ「さくらんぼ」=「佐藤錦」というブランドイメージが強いため佐藤錦のみを買取りしています。最高級さくらんぼの代表格であり、甘みと酸味のバランスが素晴らしい佐藤錦なら、付加価値の高い商品になるのでは?という考えだけで商品化のゴールを決めないで買取りを開始したのですが、ピューレの製造において「褐変(酸化現象)」を防止する製造技術を確立することができ、そのおかげでプライベートブランドを造れるお酒のライセンス「自己商標酒類卸売業免許」を取得することが出来ました。

さくらんぼビールは既にあります。ただ最高級ブランドである「佐藤錦」だけを使ったクラフトビールのプライベートブランドはない。単なる果汁入りではなく、完熟して味は最高なのに廃棄される運命にある佐藤錦を贅沢に使うことで食品ロス削減にも貢献できる。これなら世にあるさくらんぼビールと差別化できて、世界を狙えるクラフトビールが
出来るのではないか?と思い、山辺産佐藤錦100%のクラフトビールを造りました。


現在地と今後の展望

完熟した果物の食品ロスと商品化はどの果樹農家も悩みがあると思います。当初考えていた仕組みは「三方よし」から料理人・シェフ・パティシエとも協力しあい「四方よし」へと進化しており、今回のリターンにある食事会は、特殊冷凍した完熟した佐藤錦・シャインマスカットがどんなスペシャリテになるかを堪能していただく試食会となります。
また私が経営している別会社はEC(ネットショップ)支援会社で、国内のみならず海外輸出も視野に入れネットショップも構築中です。悩みある農家の仲間を増やしながらネットワークを築き、四方よしのプロ集団を組織化して行きたいと思います。



GOHOBI SATONISHIKI IPA 商品一覧